高尿酸血症
高尿酸血症

痛風とは、ある日突然、足の親指の付け根などの関節が激しく腫れ上がり、鋭い痛みを引き起こす病気です。「風が当たるだけでも痛い」と表現されるその痛みは、生活に支障をきたすほど激烈です。
しかし、痛風の本質は単なる「関節の痛み」ではありません。その背景にある「高尿酸血症」は、静かに腎臓を破壊し、血管を蝕む全身疾患です。当院では、内分泌・糖尿病領域専門医の視点から、痛みの解消はもちろん、将来の腎不全や透析を防ぐための専門的な診療を行っています。
血中の尿酸値が7.0mg/dLを超える状態を高尿酸血症と呼びます。尿酸が血液に溶けきれなくなり、針状の「尿酸塩結晶」として関節や組織に沈着し始めます。
ここで重要なのは、治療の目標値です。
一度関節に溜まってしまった尿酸の結晶を溶かして体から追い出すためには、尿酸値を6.0mg/dL以下の低い状態で維持し続ける必要があります。「7.0を切ったから安心」ではなく、「6.0以下をキープ」することが、痛風発作を二度と起こさないための唯一の道です。
尿酸が高い状態で最も警戒すべきは、関節の痛みよりも「腎機能の低下」です。
尿酸は主に腎臓から尿として排泄されますが、尿酸値が高い状態が続くと、腎臓の内部(髄質)に尿酸の結晶が沈着し、慢性的な炎症を引き起こします。これを「痛風腎(つうふうじん)」と呼びます。
当院では、内分泌・糖尿病領域専門医として、患者さまの将来の腎臓を守ることを最優先に治療を行います。
治療は「今ある痛みを抑えること」と「尿酸値を適正に保つこと」の二段構えで行います。
発作が起きた場合は、まず炎症と痛みを抑える治療を優先します。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
強い痛みと腫れを抑えます。
コルヒチン
発作が来そうな「ムズムズ感」があるときや、軽度の発作時に有効です。
ステロイド
症状が重い場合や、他のお薬が使えない場合に検討します。
※注意点:発作の最中に尿酸値を下げる薬を飲み始めると、かえって症状が悪化することがあります。数値のコントロールは、痛みが完全に引いてから慎重に開始します。
発作が落ち着いた後、再発と合併症(腎障害)予防のために尿酸値をコントロールします。
尿酸産生抑制薬
体内で尿酸が作られるのを抑えます。
尿酸排泄促進薬
尿酸を尿として排出しやすくします。患者さまの体質(作りすぎるタイプか、出せないタイプか)を見極め、最適な薬剤を選択します。
尿酸値を下げるためには、お薬だけでなく日々の生活の工夫が欠かせません。
痛風発作は「体の警報機」です。痛みが引いてしまうと放置してしまいがちですが、その間も尿酸の結晶は静かに沈着し続け、腎臓や血管のリスクを高めていきます。
「数値が高いけれど、まだ痛くないから大丈夫」
そう思っている間に、大切な腎臓の寿命は削られているかもしれません。健診で尿酸値を指摘されたら、ぜひお早めにご相談ください。
いいえ、放置は非常に危険です。痛風発作が起きていない間も、体の中では尿酸の結晶が静かに沈着し続けています。これを放置すると、ある日突然の激痛(痛風発作)を招くだけでなく、慢性的な腎障害(痛風腎)や尿路結石へと進行する恐れがあります。痛みがないときこそ、血管や腎臓を守る治療のチャンスだとお考えください。
残念ながら、アルコールそのものが尿酸値を上げる働きをします。ビールはプリン体が含まれるため特に注意が必要ですが、ウイスキーや焼酎などの蒸留酒であっても、体内で尿酸が作られるのを促進し、尿からの排泄を妨げてしまいます。どのお酒であっても「適量」を心がけ、休肝日を設けることが大切です。
数値が安定し、生活習慣が改善されれば、お薬を減らしたり中止したりできる可能性は十分にあります。ただし、自己判断で急に薬をやめてしまうと、尿酸値の急激な変化によって痛風発作を引き起こすことがあります。当院では、患者さまのライフスタイルや腎機能の状態を見極めながら、最適なゴールを一緒に探してまいります。
実は、激しすぎる運動は逆効果になることがあります。短時間で息が上がるような激しい筋力トレーニングなどは、体内で尿酸の産生を急増させ、一時的に尿酸値を上げてしまうことがあります。尿酸値を下げるためには、ウォーキングなどの「軽めの有酸素運動」を継続することが最も効果的です。
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