機能性ディスペプシア
機能性ディスペプシア

「胃がもたれる」「みぞおちが痛い」といった症状で内視鏡検査(胃カメラ)を受けても、「炎症も潰瘍もありません、きれいな胃ですよ」と言われて困ったことはありませんか?
このように、目に見える異常(器質的疾患)がないにもかかわらず、胃の不快な症状が慢性的に続く病気を「機能性ディスペプシア(FD)」と呼びます。かつては「神経性胃炎」や「慢性胃炎」と片付けられていた症状の多くが、現在は胃の「機能(はたらき)」の問題として、このFDという病名で適切に診断・治療されるようになっています。
消化器内科を受診する方の約4〜5人に1人がこの疾患だと言われるほど頻度が高い病気です。診断には、以下の症状が「6ヶ月以上前から始まり、直近3ヶ月間継続していること」が目安となります。
胃の「形」に異常がなくても症状が出るのは、胃の「動き」や「感じ方」に問題が生じているからです。
① 胃の適応性弛緩(膨らむ力)の障害
通常、食べ物が胃に入ってくると、胃の上部はリラックスして大きく膨らみ、食べ物を一時的に貯蔵します。この「膨らむ動き(適応性弛緩)」がうまくいかないと、すぐに胃の内圧が上がってしまい、少量で満腹になる「早期飽満感」が起こります。
② 胃排出能(送り出す力)の異常
胃に溜まった食べ物を、適切なスピードで十二指腸へ送り出す機能が低下する状態です。食べ物がいつまでも胃に残るため、強い「胃もたれ」を引き起こします。逆に、送り出すスピードが速すぎても十二指腸が刺激され、痛みや不快感の原因となります。
③ 知覚過敏(神経の過敏状態)
胃の神経が非常に敏感になり、通常では痛みを感じない程度の胃酸や食べ物の重み、わずかな伸縮を「激しい痛み」や「不快感」として脳に伝えてしまう状態です。これには精神的ストレスや、過去の胃腸炎などが関係していると言われています。
胃のはたらきをコントロールしているのは、自分の意思では動かせない「自律神経」です。
ストレスの影響
不安やイライラ、過労などのストレスは、自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスを乱します。すると胃の動きがストップしたり、逆に過剰になったりして症状が悪化します。
不規則な生活
睡眠不足や深夜の食事は、自律神経の修復を妨げ、胃の機能を低下させます。
知覚過敏の誘発
精神的な要因が脳に伝わり、脳が胃からの信号をより強く(痛みとして)キャッチしてしまう「脳腸相関」というメカニズムも解明されています。
機能性ディスペプシアは「除外診断」といって、他の重大な病気がないことを確認して初めて診断できる病気です。
胃内視鏡検査(胃カメラ)
必須の検査です。胃がん、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎などがないことを直接確認します。
ピロリ菌検査
ピロリ菌感染による胃炎が症状に関与している場合があるため、感染の有無を確認します。
腹部エコー・血液検査
胃のすぐ近くにある肝臓、胆のう、膵臓などの異常(胆石や膵炎など)でも同じような症状が出るため、これらをチェックします。
問診
体重減少がないか、貧血がないかなど、全身の症状を詳しく伺います。
FDの治療は、「生活習慣の改善」「食事療法」「薬物療法」の三本柱で行います。
胃への負担を減らすことが、症状緩和の第一歩です。
患者さまの症状のタイプに合わせて処方します。
「検査で異常がないから我慢するしかない」と諦める必要はありません。機能性ディスペプシアは、胃の「形」は健康でも「はたらき」が疲れているサインです。
当院では、内視鏡検査でしっかりと安心(がんなどの否定)を提供した上で、一人ひとりのライフスタイルに合わせた治療計画を立てていきます。胃がすっきりしないことで、仕事の効率が落ちたり、食事が楽しめなくなったりするのはとても辛いことです。
「いつもの不調」を「健やかな日常」へ。私たちはその一歩を全力でサポートします。気になる症状があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
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