潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎
長引く下痢や血便は「お腹の持病」のサインかもしれません

「下痢がなかなか治らない」「便に血が混じることがある」……。そんな症状が続いている場合、それは単なるお腹の風邪ではなく、「潰瘍性大腸炎(UC:Ulcerative Colitis)」という病気の可能性があります。
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に慢性的な炎症が起き、びらん(ただれ)や潰瘍ができる病気です。日本では「指定難病」とされていますが、近年、患者数は非常に増えており、決して珍しい病気ではありません。適切な治療を行うことで、多くの方が健康な時と変わらない日常生活を送ることが可能です。
潰瘍性大腸炎は、炎症の範囲によって主に3つのタイプに分類されます。一般的に直腸から始まり、口側に向かって連続的に広がっていくのが特徴です。
※炎症がS状結腸付近までの方は「左側大腸炎型」に含まれます。範囲が広いほど症状が強く出やすい傾向にありますが、どのタイプであっても早期に炎症を抑えることが大切です。
潰瘍性大腸炎の代表的な症状は、「腹痛」「下痢」「血便」です。症状が強い時期(再燃期)と、落ち着いている時期(寛解期)を繰り返すのがこの病気の特徴です。
炎症が強くなると、お腹以外にも影響が出ることがあります。
残念ながら、発症の明確な原因はまだ完全には解明されていません。しかし、「もともとの体質(遺伝的要因)」に、「腸内細菌のバランス」「食生活の変化」「ストレス」などの環境要因が加わり、本来は体を守るはずの免疫システムが自分自身の腸を攻撃してしまうことで炎症が起きると考えられています。
決して「不摂生をしたから」というわけではなく、誰にでも起こりうる病気です。
診断には、他の感染症(食中毒など)ではないことを確認した上で、大腸カメラでの観察が不可欠です。
血液検査
体内の炎症の強さ(CRP値)や、出血による貧血の程度、栄養状態などを確認します。
便検査
血便の有無を確認するほか、細菌や寄生虫による「感染性腸炎」ではないことを調べるために重要です。また、最近では腸の炎症の程度を反映する「便中カルプロテクチン」を測定することもあります。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
モニターで粘膜の状態を直接確認します。びらんや潰瘍、血管の透け具合などを細かく観察し、炎症の範囲を特定します。必要に応じて粘膜の一部を採取(生検)し、顕微鏡で詳しく調べます(病理検査)。
腹部エックス線検査
腸管の広がりの程度や、ガスの溜まり具合を確認するために行われることがあります。
現在の医学では、この病気を完全に治し去る(根治)お薬はまだありませんが、炎症をしっかり抑えて、症状がない状態(寛解)を長く保つことは十分に可能です。
5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤
治療の基本となるお薬です。腸の炎症を直接抑え、再燃を予防します。
ステロイド薬
炎症が強い時に一時的に使用し、強力に火消しを行います。
生物学的製剤(抗TNF-α抗体など)
5-ASAやステロイドで十分な効果が得られない場合に使用される、比較的新しいお薬です。炎症の原因となる特定の物質(TNF-αなど)をピンポイントでブロックし、高い効果を発揮します。点滴や自己注射による治療があります。
免疫調節薬
免疫の過剰な反応を抑え、ステロイドを減らしたり、寛解を維持したりする目的で使用します。
血液中の過剰な白血球(炎症の原因)を取り除く治療です。お薬の効きが悪い場合に選択肢となります。
大量出血やがん化、どうしてもお薬でコントロールできない場合には手術が必要になることがありますが、これは全体の数%程度です。
「ただの下痢が長引いているだけ」「最近疲れ気味だから」と、血便を見逃してはいませんか?
潰瘍性大腸炎は慢性的な病気ですが、決して「怖い病気」ではありません。今は良いお薬がたくさんあり、早期に治療を始めれば、食事や仕事、スポーツ、結婚や出産など、多くのことを諦める必要はありません。
大切なのは、「自分に合ったお薬で、炎症をしっかり眠らせておくこと」です。
当院の院長は、厚生労働省認定の「難病指定医」です。精度の高い診断はもちろん、難病申請に関わる手続きや、長期にわたる療養生活のサポートまで、専門医の立場から責任を持って取り組んでおります。
お腹の調子がすぐれない、血便が一度でもあったという方は、どうぞ安心してお気軽にご相談ください。自分らしい日常を取り戻せるよう、しっかりとサポートさせていただきます。
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